LABEL - MANIFOLD RECORDS (US)
FORMAT - LP
盤質：VG+ ジャケット:VG+

ヒップホップの北の果てからイルビエントを伝道する者Spooky That Subliminal Kid(サブリミナル・キッドはバロウズの小説「ノヴァ急行」から抜き取られていますよ）。Totemplowと融解する不協和音の連なりは予定調和から抜け落ちる否ノイズでディコンストラクト・インプロヴィゼーションなサイバネティック・ジャズであります。

「サンプリングは、長年行われきた〈ファウンド・オブジェ〉による新たな手法だ。回転は分厚く。制約は薄めに。ミックスは、廃れたつながりを打破する。古い文脈から新たな文脈が生まれる。セリフが弾かれる。言語は進化し、新たな思考で語る術を得る。思考のサウンドは、新たな意味の辺縁で再び読み取れるようになる。結局、きみは新しい言語を学びなくちゃいけない。アイディアを取り出し、それ自体の中へ折り込むんだ･･･音とイメージは、分離しては、再構成された後、ミックスの中で再び結合する･･･サンプルと断片は語り得ぬもの/語らざるものを語り、上昇は止まらない。ニュー・バップ、ニュー・フォーム、ニュー・サウンズーセリフを弾き、方程式を開いて、状況を確認せよ･･･サンプリングは時間認識のズレと戯れる。サンプリングのおかげで、人々は音の記憶や生活の状況を再生できるようになる。きみが育った環境をコントロールするのは誰だ？きみがいる状況をコントロールするのは誰だ？･･･僕らは飽和という錯乱状態のなかにいる。ぼくらはそれが起こった過程を絶対何ひとつ正確に覚えていないだろう。記憶はかつてないほど断片化され、主観的になっている。きみは退屈な幻覚か、それとももっとエキサイティングはもの、どっちをお望みだい？すでに述べたように、オープン・システム構造のアーカイブの熱は、生演奏のジャズやブルース・セッションの時代へと、ぼくらを連れ戻すーみんな同じ曲を演奏できたけれど、それが彼らの自身のサウンドになるまで、あらゆる演り方で掻き鳴らしたあの時代へ･･･全体的な文脈や環境の感覚を伝えなきゃならないどろう。つまりそれは、もっとクリエイティブになって、きみ独自の素材で本当に新しいスペースを切り開かなければならないってことだ。それは教訓だ。だってそのアーカイヴの錯乱の中ですら、創造行為の一部は実際新しいものを作るからね。周波数のピッチをほんの少し動かしたり、軽く音を飾るだけでも、きみが投げかけるエレメンツの原型を変化させる。サンプリングはエンドレスに再構成可能、カスタマイズ可能だからこそ、脱物質化の彫刻なんだ･･･もしぼくが自分を取り巻く環境を取り込んだとして、その情報がゆくゆくどんなふうに再浮上するのかを、一体、だれがコントロールするのだろう？それは不気味なシチュエーションだ。創造行為は自己の散逸/分散となる。昔々、それは錬金術と呼ばれた。だがハイパー流動情報文化の環境で、ぼくらは単純にそれをミックスと呼ぶ。この観点からみたサンプリングとは？ぼくはそれをサイバネティック・ジャズと呼びたい」本人名義ポール・D・ミラーの著作『リズム・サイエンス』から音響彫刻より(イノウエ)(1998)